世知辛い世の中

一昨日の帰り道、いつものように北千住で乗り換えのため降りると、なぜか人がある場所を避けて歩いている。みんなの視線は一点に集中し、それを見た人がまた同じ方へと次々に視線を投げていく。
私も同じように「何があったんだろ?」と思い目を向けると、おじさんが二人、殴り合いの喧嘩をしていた。
お互いに薄くなった髪を掴み合いつつ殴りあっていた。すると次の瞬間、一人の顔面にパンチがクリーンヒット。衝撃で倒れたおじさんに、もう一人のおじさんは馬乗りになった。ホームの端まで転げ危うく落ちてしまいそうなぐらいだった。
しかし、人はいっぱいいるにも関わらず、誰一人として止めようとしなかった。かくいう私も遠巻きに見ているだけだった。変に巻き込まれても怖い、その考えしかなかった。
きっとほかの人々もそうだろう。しばらくして若い男の人が止めに入り、事態は収拾した。

そういえば、以前にも東京駅の、京葉線ホームから八重洲南口に向かう間にある長いエスカレーターでサラリーマンと思われる男の人と、週末は必ずギャンブル!みたいな見た目の男の人が、その後者の男が連れていた子どものマナーの悪さに苦言を呈したことから、ギャンブル男がキレ、サラリーマンのおなかに殴る蹴るの暴行をはたらいている現場に遭遇した。
私は隣のエスカレーターに乗っていたのだが、あまりの驚きに声もでなかった。
原因となった子どもは、たぶん9歳ぐらいの男の子。その子がいる前で父親がとっていい行動ではない。サラリーマンは決して殴り返したりはせず、あくまでも冷静に努めていた。まぁそれがかえって火に油をそそいでいたけど。
このときも周りには人が結構いたが誰も何もできずにいた。すると後からあがってきたちょっとイカついお兄さんが止めに入った。

些細なことで暴力沙汰になってしまうし、しかしそれを止めようという勇気のある人はあまりいない。みんなわれ関せずっていう顔で見ている。
なんとも世知辛い世のなかなんだ…自分のことはさておきそう思わずにはいられなかった。